2014年 米日カウンシル・アニュアル・カンファレンス 基調講演

会長、社長兼CEO
マリリン A. ヒューソン

 

 

於 ハワイ州ホノルル市
2014年10月10日

 

 

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会長、社長兼CEO
マリリン A. ヒューソン

デニス(テラニシ)さん、ご紹介ありがとうございます。

皆さん、おはようございます。米日カウンシルの第5回アニュアル・カンファレンスに参加し、このすばらしい両国の長期にわたる強固なパートナーシップを祝す機会を賜り、光栄に存じます。

アイリーン・ヒラノ・イノウエさんが率いる組織により我々がここハワイに集結したことに深い意味を感じています。

2年前、ハワイの方々、そして世界は、彼女の夫であるダニエル・イノウエ上院議員と突然の別れを余儀なくされました。公僕として、戦争の英雄として、日系アメリカ人の誇りある歴史を代表する人物として、イノウエ上院議員は特別な存在でした。

同様にアイリーンさんもまた、米国と日本の絆を深めるためにその才能とエネルギーを注いでおり、我々は彼女の素晴らしいリーダーシップの恩恵を受けています。

アイリーンさん、そのリーダーシップと両国のパートナーシップを深める努力に感謝いたします。

私はこの2年の間に数回日本を訪れ、政府の要人や顧客、産業界の話をお聞きするたびに、彼らの協業やパートナーシップに対するコミットメントに感銘を受けてきました。

こうしたなかで、米日関係は今後より強固なものになっていくだろうという私の信念はより深まりました。

55年前、日米安全保障条約の署名にあたって、アイゼンハワー元大統領は両国の関係を「不滅のパートナーシップ」と表現しました。

それから半世紀が経ちましたが、太平洋の両岸に住む両国民はこの言葉を現実のものにしています。

今日では東京で学ぶタラハシーの生徒たち、京都やケンブリッジには共同研究に取り組む最高の科学者と研究者たちがいます。

鈴木イチロー、ダルビッシュ有、田中将大のような日本のアスリートが米国の最大の娯楽である野球のスターとなりつつある一方で、ニューヨークのシェフ、アイバン・オーキンの作るラーメンが東京の人々を驚かせています。

ロッキード・マーティンに関しては、日本政府が我々の最大の海外顧客のひとつとなり、我々と日本の産業界とのパートナーシップは、双方の成功を維持するために不可欠なものとなっています。

アイゼンハワー元大統領は正しかったのです。両国の絆は不滅です。そして今日、その絆はこれまで以上に重要なものとなっています。

ご承知のとおり、日本と米国は長年、アジアと世界の平和を維持するために一致団結してきました。バルカン半島からペルシャ湾、国連総会の議場に至るまで、両国は何十年も安全保障と安定のために団結してきたのです。我々は共に民主主義、人権、法の支配に確固たる責任を持って臨んでいます。

しかし今日、これらの価値は世界の各地で攻撃されています。

東ヨーロッパの不安定な情勢、ナイジェリアの反政府軍による残虐な襲撃、シリアの壊滅的な内戦、世界の道義心を揺さぶるイスラム国の非道行為。

日本の周辺地域にも不穏な脅威が立ち上りつつあることは明らかです。日本からそう遠くない海域では北朝鮮の核実験が行われています。タイは政治的に不安定であり、中国の主張は強まるばかりです。

国際社会もまた前例のない新しい課題に直面しています。氷河の減少からエボラ出血熱の感染拡大まで、危機に瀕した世界中の国家が、私たちが迅速に一丸となって取り組むことを必要としています。

サイバー空間でも、地球上のあらゆる国家や企業が、新しく変化の激しい戦場に身を置いています。今日、サイバー戦争は真の脅威です。米国と日本は毎年、何千万ものサイバー攻撃にさらされています。

こうした課題が非常に手ごわい敵であることは確かです。同盟国として、我々はこれらすべてに立ち向かわねばなりません。そしてこれらを成功裏に解決することを可能にするのは、共通の価値観、協力、そして責務です。

今回の会議のテーマは、両国のパートナーシップの基礎である3つの柱に焦点を当てています。すなわち、安全保障、成長、サステナビリティです。

我々はこれらの3分野における課題解決の道を示し、ここから生まれるチャンスをしっかりと掴むことで、共有する未来を形作っていくことができます。ここで数分お時間をいただき、我々と世界にとって強固で安全かつより豊かな未来を作るためにどういった道筋を示すことができるか、私の意見を紹介させていただきたいと思います。

最初の柱は安全保障です。

日本は最近、防衛と安全保障に係る政策を再編するために断固とした行動に踏み切りました。

ヘーゲル国務長官はこの変革を、「地域と世界の安全保障への貢献度を著しく高め、世界という舞台においてその役割を拡大していく、非常に勇敢、歴史的かつ重大な決定である」としました。

我々はヘーゲル国務長官に賛同し、日本の防衛政策の転換を歓迎しています。

ロッキード・マーティンでは、イージス駆逐艦からPAC-3ミサイル、F35ライトニングII統合打撃戦闘機まで、日本の安全保障上のニーズを満たすために協力する準備が整っています。

我々は最近、F35という歴史上最も技術的に洗練された戦闘機を42機日本に提供する契約を締結したことを光栄に思っています。F35が2016年に日本に納入されたら、地域の安全保障の礎石となることでしょう。

サイバー安全保障に関しては、増し続ける脅威に対抗するため、長年のデータ処理実績を活用しています。我々は日本の政府や産業界の顧客の協力を得て、彼らのサイバー上の懸念の理解に努めており、増え続ける脅威への取り組みに貢献していきたいと願っています。

市民、資産、データのセキュリティは我々の繁栄の基礎となるものです。ともに強く安定した世界をもたらす導き手となって、我々の国家を守っていきましょう。

米日関係は、相互安全保障によってもたらされたものです。今日、この関係は世界に経済成長をもたらす不可欠な推進力となっています。

そして、成長こそ我々のパートナーシップの2番目の柱となるものです。

日米両国の成長は他国のモデルとなっており、世界の自由市場を下支えし、世界中で雇用や機会、発展をもたらしています。

環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のさらなる進展によって、米国務省が言うところの「強固で、成熟し、ますます相互協力関係の深まった」米日関係がさらに強く価値あるものになっていくものとみています。

車からコンピューター、宇宙システムから医療機器まで、米国と日本の経済には密接なつながりがあり、物品・サービスの貿易額は2900億ドル以上に達しています。

しかし、我々の間を行き来しているのは物品・サービス以上のものです。両国の成長は、共有する考えや知識、技術によってもたらされているのです。

米国も日本も、成長や繁栄を次世代へつなげていく指導者や発明家を育成するための人材投資の重要性を認識しています。

米日カウンシルは、両国の教育交流を進めるために中心的な役割を担ってきました。

TOMODACHIイニシアチブは、同カウンシルのリーダーシップを示す最良の事例です。このプログラムは、海外で学びながら教育・文化の交流の機会を設けることで、両国の特別なパートナーシップの重要性を解する次世代リーダーを育てるものです。

ロッキード・マーティンは、米国の大学生が日本で学ぶための奨学金を支給し、米日関係の強化に取り組んでいる日米交流財団(Bridging Foundation)に協力しています。

こうした交流は、米国と日本が共に成長していくための礎となるものです。両国の同盟は紙の上のみのことでなく、両国の人々の心のなかにあるという真実をはっきりと示す取り組みだと言えるでしょう。そして同盟国の国民および友人として、互いに理解・協力し合い、学び合う機会を提供することは非常に重要なことです。

これが共に栄えゆく未来を確実なものにしていくために我々にできることだと考えています。

言うまでもなく、我々の安全や成長は、我々が生存し、繁栄し続けるために必要な資源を守る能力に基づいています。

世界の人口が急激に増加するなか、我々は環境を守る責任を負うものとして、エネルギーや食糧、清潔な水の需要拡大に応える策を見つけねばなりません。

だからこそサステナビリティ(持続可能性)がパートナーシップの3番目の柱なのです。

サステナビリティに対して世界が重点的に取り組む必要に迫られていることは、日本でも強く感じられているかと思います。特に、2011年3月の東日本大震災のような大災害は、サステナビリティに共同で取り組むことの緊急性を私たちに改めて感じさせます。

昨年、日本は「持続可能なイノベーション」で世界第4位に位置づけられました。この持続可能的なイノベーションこそ我々がまさに最も必要としているものです。

ロッキード・マーティンは世界の喫緊の課題に対処するために、その技術、能力、創造性のすべてを活用しています。

我々は、分子濾過システムから潮力発電、無人作物モニタリングからスマートグリッド技術まで、実現可能なエネルギー、清潔な水、豊富な食料を届け、かつ、この地球を守るための解決策の開発における先駆者となっています。

ここハワイにおいても、ロッキード・マーティンは波を電力に変換することが可能な海洋温度差エネルギー変換施設を建設しました。海洋温度の差異をクリーンで無限の電力に変える技術です。

また、ハワイのカンパチ・ファーム及びイリノイ大豆協会と協力し、TIME誌の2012年発明トップ25に選ばれたモバイル・フィッシュ・ペン(漂流する漁業用ケージ)を開発しました。これは、持続可能な漁業を確立していく上でひとつの重要な要素となることでしょう。

サステナビリティへの我々の取り組みが世の中に認められつつあることを嬉しく思っています。ロッキード・マーティンは最近、ダウ・ジョーンズのサステナビリティ・ワールド・インデックスにおいて株式公開企業の上位10パーセントに位置づけられました。

今後はサステナビリティを確保するための解決策が一層必要となっていきます。この危機的状況に対応し、持続可能な未来を切り開くために、日米、そして世界中における最高の知性が必要とされています。

安全保障、成長、サステナビリティ。いずれも米国と日本にとって欠かせない柱です。各柱にはそれぞれ課題や障害が存在します。しかし、米日間の協業やパートナーシップをより強化するための機会ももたらすことでしょう。

私は楽観的に考えています。なぜなら、両国は過去の歴史においておよそ不可能だと思われた偉業を繰り返し実現してきたからです。

1931年にチャールズ・リンドバーグと妻のアンがメイン州から東京まで有名な飛行を行ったことをご存じの方もいらっしゃるでしょう。カナダ、アラスカ、北極海、ベーリング海を渡る難しい旅路でしたが、彼らはこの旅をロッキード・シリウスという水上飛行機で成し遂げました。

当時は飛行史の黎明期であり、そもそも米国からアジアへの飛行が可能なのかも分かっていませんでした。しかしリンドバーグはこの旅を成功させ、このルートの飛行が可能であることを証明しました。

この旅は両国のつながりゆく未来を約束しました。今日、日本と米国を結ぶ直行飛行ルートは何千とあります。

ロッキード・マーティンはこのつながりを発展させる一翼となれたことを誇りに思っており、それは今に続いています。我々は日本と米国が共にチャンスを掴み、共に課題に立ち向かう一助となることを光栄に感じています。

ロッキード・マーティンのライフワークは、顧客と世界のために「より良い明日を設計する」ことです。

今後も共に協力しあい、このライフワークを追求させてください。米国と日本の未来の繁栄を確固たるものにすべく、力になりたいと思っています。

そして安全で持続可能かつ豊かな未来を創るために、立ちはだかる問題を好機に転じ、すばらしいチャンスを共にしっかりと掴みとっていきましょう。

ありがとうございました。