世界で最も多用途なレーダー、SPY-7

世界で最も多用途なレーダー、SPY-7
October 29, 2020
Facebook

世界における脅威の情勢が絶え間なく進化し続けるなか、各国軍は日々危険を目のあたりにしています。彼らは独自のアセットのネットワークに合わせて構築された、信頼性の高い先進的な技術を頼りにしています。

イージス・ウェポン・システム(AWS)は、あらゆる弾道ミサイル防衛における要件に対応できるように設計され、50年間に渡り、絶え間ない進化と革新を通じて構築されました。その柔軟なアーキテクチャによって様々なミッションに適応し、世界で最も広く配備されている戦闘システムとなっています。

イージスの基盤となるのはSPY-7です。これは即ち、価格に対して世界で最も高い性能をもたらす、最新世代のレーダー技術です。

4か国において24以上のプラットフォームに配備予定のSPY-7が、世界で最も多用途なソリッド・ステート・レーダー(SSR)とされる理由を見てみましょう。

あらゆるミッションの条件に対応

ミサイル防衛では、失敗は決して許されません。どんな時でも滞りなく機能するシステムが必要です。将来的な脅威の出現に応じて、アップグレードを簡単に行えることも必須です。

SPY-7はこうした様々な条件に最も適合するレーダーで、次のような機能を持ちます。

  • イージス艦から地上配備プログラムまで弾道ミサイル防衛に対応する、スケーラブルな(拡張性のある)レーダーフレームワーク
  •  従来のSPY-1レーダーの数倍の性能を保有し、一度に複数発の高機能弾道ミサイルの脅威を検知・追尾・対処可能
  • 世界の主要なレーダーおよび防衛プラットフォームと相互運用可能
  • 運用性が実証された最新世代のレーダー技術を駆使し、現代のニーズに迅速に対応
  • 展開が進むにつれ、独自のオープンアーキテクチャ設計により各国のプラットフォームがリアルタイムで進化し、将来の脅威に対応できるデジタル設計

比類ない技術が基盤となる

SPY-7の中核を成す技術は長距離識別レーダー(LRDR)プログラムを基盤としています。これにより実際の運用に向けてプロトタイプの準備が整っていることを意味する米国政府の技術成熟度レベル(TRL)7に区分されています。

SPY-7は素材の構成要素として窒化ガリウム(GaN)を使用しており、これによってレーダーの冷却性が向上し、性能と持久性の強化につながります。SPY-7レーダーは一つのエリアを一つのアレイでスキャンするのではなく、何千もの小型スキャナで構成されている為、監視エリアのソリッド・ステート・カバレージ(広範囲にわたる固定監視)が可能です。このサブアレイを使った構造により、脅威の進化に合わせてレーダーを簡単にアップグレードすることが可能です。

4か国で採用済み

ロッキード マーティンのソリッド・ステート・レーダー(SSR)技術は、米国政府、スペイン、日本、カナダとの提携を通じて、世界中の国々の前線を最先端の防空・ミサイル防衛能力で守ります。 

SPY-7の真の汎用性を理解する為、国家の防衛にSPY-7を選んだ4か国を見てみましょう。

スペイン

米国政府が自らのレーダーの派生型をSPY-7(V)1と指定したことを受け、スペインのSPY-7レーダーはSPY-7(V)2と指定されました。

ロッキード マーティンの統合戦闘 システム アンド センサー (IWSS)およびロータリー アンド ミッション システムズ(RMS)副社長兼ゼネラルマネージャーであるポール・レモ(Paul Lemmo)は次のように述べています。「この指定は、ロッキード マーティンのデジタルSSR技術の完成度と性能を証明するものです」。

最初のF-110フリゲート艦に配備される世界クラスのSPY-7海軍レーダーは2026年に進水し、最新の対空戦闘の脅威からスペイン軍を守る予定です。

SPY-7
AN/SPY-7(V)2を搭載したF-110フリゲート艦完成予想図。出典:ナバンティア

カナダ

SPY-7はカナダ海軍水上戦闘艦(CSC)にも搭載されます。このプログラムをもって、カナダは米国に次いで二番目に大きなイージス艦隊を保有することになります。カナダのSPY-7レーダーの派生型は今後何十年にも渡り、CSCが非常に高度な海軍ミッションを遂行することを可能にします。

最初のF-110フリゲート艦に配備される世界クラスのSPY-7海軍レーダーは2026年に進水し、最新の対空戦闘の脅威からスペイン軍を守る予定です。

SPY-7-Canada
ロッキード マーティン カナダにより国内で開発され国際的に名高い戦闘指揮システムCMS 330を搭載した、カナダの新型水上戦闘艦

日本

最新のデジタルSSR技術を搭載した持続的なミサイル防衛システムがSPY-7レーダーと既存のイージス・コンバット・システム(ACS)を統合し、継続的な日本の防衛を可能にします。

SPY-7-Japan
米国政府によりAN/SPY-7と命名されたSPY-7およびミサイル防衛システムで弾道ミサイルの脅威から防衛する
統合や最先端のレーダー技術であらゆるミッションに対応するSPY-7が、世界のどのレーダーよりも多用途であることは間違いありません。国民を守るために世界中のより多くの国々がロッキード マーティンと提携していくにつれ、SPY-7のストーリーは広がり続けていくことでしょう。